Windows NT完全互換を目指しているReActOSは現在どういう状況なのか

見た目は2000〜XPに近い(元々Server 2003互換として開発されているため) PC関連
見た目は2000〜XPに近い(元々Server 2003互換として開発されているため)

Windows NT(Windows 2000以降のNT5系以降のバージョン)の完全互換を目指してオープンソースで開発されているOSがReActOSです。

ソースコードを公開していない(流出したことはある)、市販OSの挙動を忠実に再現することを目指しているため、2024年現在でもまたアルファ版という段階で、公式サイトからダウンロードできるビルドとしては2021年12月にリリースされた0.4.14で止まってしまっていますが、ナイタリービルドは毎日のように公開され、動作するアプリも増えてきています。

最近ではIntel x86-64(64bit版)の開発も進んできているほか、2023年4月にはReActOSの日本語ローカライズに積極的に関わっている片山博文さんにより、日本語(だけでなく、韓国語や中国語なども含む)入力に必要なInput Method Editor(IME)を動かすための仕組みである「IMM」がついに実装されたようです。

ReActOSではそのマイナーさ故に日本人の開発者が少なく、ローカライズ自体は以前から行われていたものの、日本語入力に必要なAPIである「IMM」「TSF」が実装されていなかったため、日本語を入力することができなかったのですが、これでようやく日本人ユーザーでも本家Windowsからのリプレース先になるための第一歩を踏めました。

ただし、現在のMS-IMEやATOK、Google日本語入力では、Windows XP(NT 5.1)で実装された「TSF」を使用しているため、現状のReActOSで動作するのはWindows 98〜7時代の古いものに限られてしまうのが難点ですが、この点もいずれ解決することになると思います。

IMMに対応するのはWindows 95/NT 3.51からWindows XPあたりをサポートしていたATOKやMS-IMEとなりますが、いずれも秋葉原のジャンクショップやYahoo!オークション、メルカリあたりで容易に入手することが出来るかと思われます。

「ReActOSのためにわざわざ買うのはちょっと・・・」という方はIMMを実装した片山博文さんが開発した「MZ-IME 日本語入力」がフリーソフトとして公開されています(本家Windows XP〜7でも当然動きます。Windows 8以降はIMMがサポートされなくなったため、動作しません)。

MZ-IME Ver 0.9.8.7:片山博文MZの止まんないブログ

そのほかWindows NT 3.1〜XPまで採用されていたCUIベースのインストーラーではなく、より近代的になったGUIベースのインストーラ(Windows Vista以降のインストーラーが採用しているWin PEとはまた別の形での実装)が実装されるなど、一般ユーザーが常用できる段階ではないことには変わりないものの、確実にベータ版への移行に向けて進化を続けているようです。

ちなみに初代Windows 1.0.3からWindows 2000まで(NT 5.0と呼ばれていた頃からの公約を果たしただけだったとはいえ)サポートされていた、かつての“国民標準機”、PC-98シリーズへの移植も行われていて、2021年12月にリリースされたバージョン0.14.19ではフロッピーディスクからブートローダーのNTLDRが可能な状態になっています。

ただし、現在主流のPC/AT互換機(もはや元のIBM PC/ATとはほぼ別物になってしまいましたが・・・)と同じIntel CPUが搭載されているとはいえ、あくまで独自仕様のハードウェアなので、ちゃんと起動できるようになるまでまだまだ時間が掛かりそうな気がします。最後までPC-98をサポートしていたFreeBSDも2013年にリリースされたRelease 8.4を最後に開発が終了してしまっているので、個人的にも期待しているのですが・・・(公式Wikiにて引用されているPC-98版Windows 2000の起動動画をアップロードしたのは漏れです。動画で使用したPC-9821Nr15/S20はもう手元にはいませんが・・・)

LinuxでWindows向けアプリを動作させるための互換レイヤー、Wineも取り込んでいるため、バージョンアップを重ねるたびに動作するアプリも増えてきています。

当初はWindows 95互換OS、FreeWin95として開発がスタートしたReActOSですが、流出したWindows 2000のソースコードが流用された疑惑が出てきた関係で、一時的に開発がストップしてしまったこともあったものの、着実に「完全無料のWindows互換OS」としての完成度を高めてきています。

本家Windowsが「古いハードウェアはどんどん切り捨てる」サステナブルとは逆の方向に向かってしまっていることもあって、完成した際には中古PC再生用OSの有力候補になりそうです。

WindowsやmacOS、Linuxと比較すると知名度はそこまで高くないこともあり、日本国内で更新情報が報じられることは少ないのですが、個人的にもベータ版、正式版になる日を楽しみにしています。

関連リンク

ReActOS:公式サイト

ReActOSまとめWiki:2ちゃんねる(現:5ちゃんねる)ユーザーによる日本語Wiki

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