セガサターン版「バーチャファイター2」レビュー(2024年版) ー 実は家庭用としてはいまでも最高の出来

(C)SEGA 1994 1995 ゲーム
(C)SEGA 1994 1995

SEGAのModel2基板は比較的早い段階で株式会社M2から精度の高いエミュレーターがPlaystation 2向けに開発(Nuburaの非公式エミュレーター、SEGA Model2 Emulatorよりも先に完成)されたこともあって、オリジナルのアーケード版は何回も移植されている「バーチャファイター2」ですが、個人的にはリアルタイム世代だったこともあって1995年12月にリリースされたサターン版が今でも印象に残っています。

不可能と言われていた「完全移植」を実現

アドバダイスデモも完全再現

セガサターンに限らず、当時の家庭用ゲーム機はアーケード基板と比較すると性能差があまりに大きかったため、特に3D作品に関して言えば現在の基準における「完全移植」は不可能でした(ただし、バーチャの競合タイトルである「鉄拳」シリーズは初代の時点でPS互換基板を採用していたため、当然家庭用もほぼ完全移植と言っていい内容でした)。

1994年11月にローンチタイトルとして発売したModel1基板作品、「バーチャファイター」も当時としては素晴らしい移植度だったのですが、細かいところを見ると指の動きが再現されていなかったり、ポリゴン数が減っていたりと実は結構差異が見られます・・・当時はそんなこといちいち気にするユーザーはほぼいませんでしたが・・・

Model 2基板ではテクスチャーマッピングをサポートしたことで、よりリアルなグラフィックを実現していましたが、その分Model1よりさらにハードウェア性能も高くなっていたため、「バーチャ2をサターンに移植するのは無理だろ・・・」と考えていたユーザーも多かったのではないでしょうか。

細かいところではデュラルステージのボイスが変わらない(アーケード版ではスロー再生になる)という差異も

ただ、当時のセガ・・・特にバーチャシリーズやデイトナUSA、スカッドレースなどを手かげていたAM2研は移植作品にもかなり気合いを入れて開発していた上、1995後半頃にはよりハードウェア性能を引き出すことができる新OSが完成したこともあり、実際に発売したサターン版バーチャ2は今の基準で見ても完成度の高い作品に仕上がりました。

ウルフステージの金網がカットされているなど、背景オブジェクトは削減されていましたが、アーケード版とほぼ同じ60フレーム動作を実現し(正確にはアーケード版では57.5フレームで動作していたので、サターン版の方がなめらかさに関してはむしろ向上していました)、キャラクターの美しいモデリングもほぼ忠実に再現されていました。

「家庭用バーチャ2」としては今でもベストな内容

Yaba Sanshiro2だとテクスチャーが高画質化されるのでアレだが実機でもきれい

サターン版がリリースされた時点で、アーケードではゲームバランスを調整したアップデート版「2.1」が稼働していましたが、当然こちらも収録されていてオプションから切り替えることが可能です。

「デイトナUSA」や同時期に発売した「セガラリー・チャンピオンシップ」ではアレンジBGMしか収録されていませんでしたが、バーチャ2ではModel2音源とアレンジBGM両方を収録していて、こちらもオプションから切り替え可能。

アーケード版を忠実に再現した「アーケードモード」、団体戦を楽しむことができる「チームバトルモード」が用意され、学習機能により、プレイヤーの攻撃パターンを覚えたCPUと対戦することが出来る「エキスパートモード」といった家庭用ならではの追加要素もしっかり盛り込まれています。サターン版「バーチャ1」で初めて搭載され、アーケード版バーチャ2で逆輸入された「段位認定モード」ももちろん収録されています。

前述の通り、2000年に発売したPlayStation 2はすでにModel2基板をエミュレーションできる性能に達していたこともあって、2004年にはSEGA AGES 2500シリーズの中の一本としてアーケード版の完全移植がリリースされ、以降現行世代のハードに至るまで移植版がリリースされていますが、良くも悪くも「ゲームセンターで稼働していたアーケード版そのもの」で、サターン版に収録されていたオリジナル要素は一切入っていない(場合によってはアレンジBGMに切り替えることは出来ますが・・・)ため、やっぱり家でじっくりプレイするのであれば、今でもサターン版が一番おすすめです。

あるいはサターン版準拠でModel2基板のテクスチャーデータに切り替えできるWindows版(サポートしているOSはWindows 95ですが、Windows 10/11でも確か動いたはず・・・)

実機環境を揃えるのは面倒ですが、今ならアンヨヨイヨでも普通に動きますし、大ヒットした作品ということもあって、ハードオフのジャンクソフトコーナーなどをあされば今でも数百円程度で入手できるので、実は今でもプレイ自体は容易だったりします(メディアもただのCDなのでドライブがあれば簡単にイメージ化できます)。

まとめ

バーチャシリーズが一番輝いていたのはおそらく「2」なのではないかなと感じています。週刊少年マガジンで連載されていた「カメレオン」の作者、加藤あつしさんがバーチャプレイヤーでアストロシティ筐体とバーチャ2の基板を所有していたりしましたし(同作にはデイトナUSAの「HORNET」仕様のS13シルビアも登場しているので、セガレトロゲー好きは必見です)、ブンブン丸さん、新宿ジャッキーさんと言った凄腕プレイヤーが話題になったのもこのころでした。

初代バーチャではキャラボイスを自社社員が担当していましたが、81プロデュースに所属する人気声優を起用したのも「バーチャ2」からになります。サターン版と同時期にアニメ版も放送されていましたし、三木眞一郎さんのアキラと千葉繁さんのラウはいまでも本当かっこいいと思いますね。アニメ版のアキラは大食いさんでちょっと軟派な性格だけどしゅき。

小学生時代のかのあゆにとってアーケード基板を買うなんて夢のまた夢の話でしかありませんでしたし、既に凄腕プレイヤーで盛り上がっていたのでデイトナUSAとは異なり、ゲームセンターでプレイすることはありませんでしたが、あの空気感を家でも気軽に楽しめるサターン版バーチャ2は今でも名作だと思っています。

関連リンク

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