2021年頃わんみ(ONE-NETBOOK)やGPDから積極的に投入されていたIntel 第11世代Core i5/i7(コードネーム“Tiger Lake”)搭載ゲーミングUMPCですが、2022年以降はめっきりみかけなくなり、今年になってようやくMSIの「Craw」が第14世代Core Ultra(コードネーム“Meteor Lake”)搭載ゲーミングUMPCを投入しています。
Tiger Lakeから採用された内蔵GPU、Iris Xe Graphicsは以前のIntel HD/UHD Graphicsと比較すると大幅に性能が向上し、一時期「普通のモバイルノートでもゲームを楽しめる!」とプロモーションしていましたが、最近ではそのような売り込み方をやめています。
性能自体は確かに高い
一応断っておくと、現時点では最高クラスの性能を有しているAMDのRadeon 780Mも含め、「所詮は内蔵GPU」であることには変わりありません。
ウインタブさんにて今年の1月にRyzen 7 7840MとRadeon 780Mを搭載するわんみえっくすふらいの実機レビューを公開していますが、「ストリートファイター6」はHD/グラフィックプリセット低に設定しないと格闘ゲームとしては快適にプレイすることは出来ませんし、個人的に一番期待していた「Forza Motorsports(2023)」に至っては起動することすらできませんでした。
性能としては数年前のデスクトップ向けミッドレンジGPU、GeForce GTX 1650にもう少しで届くところまできてはいますが、最新タイトルをグラフィック設定中以上で持ち歩けるレベルにはまだ達していません。
ただ以前の「昔のゲームですらプレイ不可能、Windows Vista以降でサポートされたDWM(Desktop Window Manager)を最低限処理できる性能しか有していない」Intel GMA/Radeon IGP時代と比べればグラフィックを低まで落とすことでほとんどの最新タイトルを普通のビジネスノート(それこそゲーミング富士通と言われていたLIFEBOOK Aシリーズですらやろうと思えばAAAクラスのゲームをプレイ可能)やポケットに収まるコンパクトサイズのUMPCでプレイ出来るようになったのは素晴らしいことです。
IntelはAMDと比較して大幅に後れを取っていましたが、2020年に登場した第11世代Core i5/i7で初採用されたIntel Xe Graphicsでは同世代のRyzenと比較しても遜色がないレベルまで性能が向上し、「ストリートファイター5」「鉄拳7」と言った一部タイトルにおいてはIntel側でも「インテル Xe グラフィックス検証サポートプログラム」により動作検証を行った上で、ドライバー側でも最適化を実施するなど、力を入れていました。
実際性能は高く、「Need For Speed Unbound」「Forza Horizon 5」といった作品であれば十分プレイできました。
Intel Arcの登場ですべて変わった
ところがIntelがディスクリードGPUとして「Arc」をデスクトップ・モバイル向けに発表したことで流れが大幅に変わってきます。
製品としての投入が大幅に遅れた上に、当初はドライバーの最適化が十分ではなかったため、NVIDIAのGeForceやAMDのRadeon(dGPU)と比較すると性能面ではいまいち・・・・という評価が散見されましたが、ようやく本来の性能を発揮できるようになり、ゲーム側でもサポートされているタイトルが増え始めました。
その結果、「正式に動作保証されているIntel製GPUはArcのみ」というタイトルがぼちぼち増え始め、昨年発売した「Mortal Kombat 1」のように「Intel Xe Graphicsでは正常にプレイ出来ない」ものまで出始めてしまいました。
内蔵GPUなので公式では動作保証されていない点は同じですが、Ryzenに内蔵されているRadeon Graphicsはコンシューマ機でも採用されているRDNAアーキテクチャに移行していて、そのような問題が発生しづらかったこともあり、第12世代Core i5/i7(コードネーム“Raptor Lake”)を搭載するゲーミングUMPCが登場することはありませんでした。
「Intel Xeでゲームをプレイ出来る」とはもう思わない方が良さそうだが・・・Arc Graphicsに期待
2024年1月に開催されたMWC 2024で発表され、日本でも先日正規投入されることが決まったMSIの「Craw」は実に2年ぶりに登場したIntel CPU搭載ゲーミングUMPCとなります。
第14世代Core Ultraでは内蔵GPUが「Xe-LPGアーキテクチャ」に一新し、上位SKUではズバリ「Arc Graphics」と名乗っています。
ITmediaの記事によると、ディスクリード版Arcで採用されている「Xe-HPGアーキテクチャ」をデチューンしたものがCore Ultraで採用されている「Xe-LPGアーキテクチャ」とのことですが、第11・12世代Coreで採用されていたIris Xe Graphics(Xe-LPアーキテクチャ)よりさらに性能が向上しているだけでなく、Arcを公式サポートしているタイトルであれば互換性の問題も解決しているものと予想されます。
次世代の「Core Ultraプロセッサ」に採用! リアルタイムレイトレに対応したIntel内蔵GPUの“秘密”に迫るj:ITmedia
かのあゆ自身第14世代Core Ultra搭載機はまだ一度も触っていないので、どうとも言えないのですが「the比較」さんにて「普通の」モバイルノートであるAcer Swift Goで実際に最新タイトルを何本かプレイした結果が掲載されています。
Core Ultra 7 155H内蔵のIntel Arc グラフィックスでどこまでゲームができるか?:the比較
記事を見た感じだ、Core Ultra 7 155Hに内蔵されているArc Graphicsでもまだ「スト6」のグラフィック設定を中以上に設定してプレイするのは厳しそうですが、PC版も割とシステム要件が厳しめな「原神」であればグラフィック設定を「中」にあげても快適にプレイ出来るようです。けっこういい線行っていますね。
ゲーミングUMPCは今年もいろいろ盛り上がりそうですが、Ryzen搭載機しか選択肢がないのはちょっと寂しいので、久々に登場したCore UltraとArc Graphics搭載機もドゥンドゥン登場してくれれば・・・と期待しています。
ちなみにわんみもONEXPLAYER X1を発表していて、日本でも3月30日より販売開始となります。
やっぱりわんみはすごいや!またいずれ・・・かのあゆの相棒として・・・
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