Windows 11、ついにローカルアカウントで初回セットアップを行うための「bypassnro」スクリプトが削除 - ただしまだ手段はある

例年通りであれば6月にRTM(製造出荷段階)に達し、今秋には一般ユーザー向けにリリースされる予定のWindows 11 Version 25H2(2025 Updateという名称になるはず)。

既に一時期統合されていた木偶人形・・・もとい、Canaryチャンネル配信ビルドとの再分離が行われていていますが、次期大型アップデートの開発ビルドを配信しているDevtチャンネルのビルドナンバーが26200となっているため、今年はWindows 10 May 2020 Update(Verison 20H1)~2022 Update(Version 22H2)やWindows 11 2022 Update(Version 22H2)~2023 Update(Version 23H2)の時と同じ、更新プログラム適用で無効化されている新機能を有効化するための小さなアップデートを適用するだけでバージョンが切り替わる「有効化パッケージ」での提供になりそうです。

おそらく2025 Updateがリリースされる頃には現在2024 Updateで発生している不具合もほぼFixされているはずですが、今月配信されたBetaチャンネル(2024 Updateの月例アップデートで実装される新機能をテストするためのチャンネル)Devチャンネルで配信された新ビルドでは一般ユーザーにとってかなり致命的な変更が含まれています・・・つまり2025 Updateのリリースを待つことなく、数ヶ月以内に現行バージョンとなる2024 Updateでもこの変更が反映される予定です。

「俺の窓が・・・死んでいく・・・」

既に複数国内IT系メディアでも取り上げていますが、Windows 11 Home・Proで個人向けアカウントを作成する際に必要なネットワーク接続とMicrosoftアカウントのサインインをスキップするためのスクリプトファイル「Bypassnro.cmd」が3月下旬に配信されたWindows 11 2024 Update Beta Build 26100.3653とWindows 11 2025 Update Dev Build 26200.5516から完全削除されています。

この変更についてはMicrosoftが公開しているWindows Insider Programの公式ブログのリリースノートでも正式な仕様として掲載されていて、セキュリティとユーザーエクスペリエンスを向上させるために当該スクリプトを削除したとのことですが・・・そもそもネット環境がないユーザーがまだ存在しているということを無視しているのもアレなのですが、結局テメーのクラウドサービスの利用を押しつけてえだけじゃねーか!ふざけんな!

2025 Updateになる予定のDevチャンネル配信ビルドだけでなく、数ヶ月以内に展開される更新プログラムに含まれる新機能をプレビューできるBetaチャンネルでもこの変更が反映されているので、早ければ来月あたりにはBypassnroスクリプトが完全削除されることになるかと思われます。

うるせぇ!ローカルアカウント作らせろ!

あまりに強引すぎるMicrosoftの自社クラウドサービス押しつけは個人向け・企業向けともに進んでいる上、まもなく一部エディションを除きサポートが終了する予定のWindows 10にもこの改悪が反映されていますが、以下の理由によりMicrosoftアカウント紐付けではなく、ローカルアカウントを作成したいという方は非常に多いかと思われます

lMicrosoftアカウントに設定しているユーザー名をそのままユーザーアカウント名として使用するため、日本語など二バイト文字が使用されている場合一部の海外ソフトで正常にセットアップできないなどの不備が発生するので初回設定時はとりあえずローカルアカウントを作成して後ほどMicrosoftアカウントを紐付ける設定を行いたい

そもそもMicrosoftアカウントを使いたくない

ネット環境がないのでそもそもMicrosoftアカウントを作成できない

基本的に2024年1月以降の更新プログラムが適用済みのWindows 10、Windows 11では個人ユーザーの場合のみ、エディションがHomeであろうがProであろうがMicrosoftアカウントの紐付けが必須で強制的にOneDriveのクラウドバックアップ機能が有効化される仕様に変更されたため、せっかく新しいPCを購入した(あるいはクリーンインストールして環境をリセットした)にもかかわらず、勝手に別PCのデータをリストアして環境がめちゃくちゃになるというクソみたいな仕様になっています。

またMicrosoftアカウントが必須になっている関係で現在販売されているWindows搭載PCは基本ネット環境がないと何も出来ないただの高級文鎮になってしまう、「ネット接続がない愚民共は俺等の製品を使う資格なんてねぇんだよwwwww」という気が狂った仕様になっています(会社の方針的にはMicrosoftと同じく邪悪よりになってきているググレカスのアンヨヨイヨ・ChromeOSや林檎のmacOSとその派生モバイルOS、Linuxなど他のOSではネット環境がなくても初回セットアップでローカルアカウントを作成できますし、自社クラウドサービスの利用を強制的に押しつけるというクソみたいな仕様にもなっていません)。

ただし、現時点ではこの更新が実際に反映された場合もいくつか「オフライン環境でローカルアカウントを作成する手段」がいくつか存在しています。いずれ当ブログか別の場所で詳しい手順を紹介したいと思っていますが、簡単にまとめると以下の手順でbypassnro.cmdが削除されたビルドに更新されたあともローカルアカウントを作成できます。

1.     Bypassnro.cmdで追加していたレジストリキーを手動で設定する(将来的に対策される可能性あり)
実は現時点ではあくまで削除されたのは「ネットワークセットアップをスキップするためのレジストリ設定を行うためのスクリプトファイルであるBypassnro.cmd」のみで、設定項目自体は無効化されていないので、OOBEが起動したらCTRL + F11キーを押下してコマンドプロンプトを起動し、「RegEdit」と入力してレジストリエディタを起動してHKLM\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\OOBE内にBypassnroというDWORDキーを作成した上で値を「1」に変更してから再起動することで今まで通りネットワークセットアップをバイパスした上でローカルアカウントを作成することが可能です。

ただし、スクリプトが削除されていることからもわかるとおり、将来的にレジストリ設定としての「Bypassnroも削除される可能性がある点には注意が必要です。

2.     コマンドプロンプトから「秘密の質問」設定画面を呼び出してローカルアカウントを作成する(同上)
同じくOOBEからコマンドプロンプトを起動して「start ms-cxh:localonly」と入力し、「秘密の質問」のセットアップ画面を呼び出してそこからローカルアカウントを作成する手段もあります。

一つでもアカウントが存在している場合は既存のアカウントでパスワードを忘れた際に使用する秘密の質問の設定を行うのですが、クリーンインストールの時点では有効になっているアカウントが一つも存在しないため、ローカルアカウントも一緒に作成した上で設定を行うという挙動になることを活用した手段で、こちらはインプレスさんが運営している「窓の杜」にて紹介されていた手段となります。

https://forest.watch.impress.co.jp/docs/serial/yajiuma/2002656.html

ただこちらもUIがWindows 10時代の物のままになっていることからもわかるとおり、将来のアップデートでは挙動が変わる可能性もあるのでずっと利用できる手段化と言われれば微妙なところです・・・

3.       「応答ファイル」でローカルアカウントを作成するよう指定して監査モード経由でSYSPREPに読み込ませる(当面対策される可能性は少ないが手間がかかる)
かなりめんどくさい作業が必要になりますが、少なくとも当面無効化される可能性が少ない上に確実にオフラインセットアップ + ローカルアカウントの作成を行えそうなのは「応答ファイルを作成してOOBEから監査モードを起動してSYSPREPで読み込ませる」という手順となります。

「監査モード」「SYSPREP」と言われても何のことをいっているのかわからないという方がほとんどかと思われますが、本来は企業やPCメーカーがあらかじめ必要なアプリやドライバを組み込んだ「マスターイメージ」を構築するための機能になります。ちなみにかのあゆがいま本業でやってるのもマスターイメージを作るお仕事になります。

SYSPREPでは「応答ファイル」と呼ばれる設定ファイルを読み込ませることであらかじめ様々な設定を組み込むことが可能になっているのですが、この応答ファイルにあらかじめ作成したいローカルアカウントの情報を記載することでbypassnroレジストリキーを設定する手段や秘密の質問を呼び出す手段が塞がれた場合であってもローカルアカウントを作成することが可能になります。

SYSPREPそのものは未だストアアプリをサポートしていないなど大分放置されていますが、少なくともMicrosoftが「これからはWindows AutoPilot(クラウド経由で各設定を一括で適用できる機能)の時代!マスターイメージなぞ!滅んでしまえええ!」と言い出さない限り削除されることもない…はずです(ないと言い切れないのが怖い)

ただし、応答ファイルを作成するには自分でXMLファイルを作成するか、「Windows システム イメージ マネージャー」というツールを使用してあらかじめWindowsインストールメディアに含まれているイメージファイルを読み込ませた上で作成する必要があり、設定項目を誤ると起動不可に陥ってしまうリスクがありますが、これに関しては当ブログで「ローカルアカウントを作成するための応答ファイル」を用意して配布する予定です。

このほか一応サードパーティ製ツール(Rufusなど)を使ってローカルアカウントを作成することも可能ですが、どのような手段を用いて設定をバイパスしているのか不明なので個人的にはあまりおすすめしません。

自社クラウドの押しつけやめろ!

そもそも「ネットにつながないと初期設定すらできない上に使いたくもないMicrosoftアカウントを強制的に作らせる」という仕様になっている時点でアレなのですが、今後法人ユーザーでも同じような仕様に改悪される可能性もあり得なくはないので、どうしてもWindows環境でないと利用できないアプリを使っている場合は別ですが、真面目に割れた窓を捨て去る(別のOS環境への乗り換え)も検討した方がよさそうです。

正直「全てのユーザーがネット接続ができる環境にある」と考えている時点で大分感覚がずれていると思うのですが、このままだと真面目にWindowsというプラットフォームが消滅する未来もあり得なくはないかもしれません。

やっぱりナデラ時代のMS製品っていろいろ迷走しているような気がします…

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