
インプレスさんが運営しているINERNET Watchの「やじうまWatch」にて米国で販売されいていたコンピューター雑誌「BYTE」(1975年9月~1998年7月)の全データが“公式”で公開されたという記事が掲載されています
「やじうまWatch」の記事にもあるとおり、基本的には1975年に刊行されてから1998年に廃刊されるまでの23年分のデータがすべて「ビジュアルアーカイブ」という形で1ページ内にすべて「画像」として公開されるという、画期的すぎるスタイルとなっていますが(広告やWEBアーカイブなどでは比較的よく見かけました、「雑誌」のフルデータをこの形で全公開するのはドチャクソ斬新だと思います・・・というか斬新すぎるわ!)、読みたい号ごとにPDFとしてダウンロードしたり、テキストデータとしてダウンロードすることも可能です。
日本では現在はWEBメディアに移行した「月刊ASCII」と同じく、個人向けコンピューター雑誌としてはPC(日本では当時“マイコン”と呼ばれていました)が今でいうところのガジェクラのおもちゃで一般ユーザーには認知されていなかったころからインターネットが一般ユーザーに普及しはじめ、Internet Explorer 4.0が統合されたWindows 98がリリースされる“直前”までを駆け抜けた、レジェンダリーレジェンド(カグヤ様かな?)な雑誌ですが、全データ、当時の広告込みで無償公開しちゃうのはかなり太っ腹だと思います(海外だと“フェアユース”という法律があるのでややこしいのですが、日本国内では著作権的にアウトなエロゲ雑誌まで勝手にアップロードして無償公開しているInternet Archiveとは異なり、“公式”というのはかなり大きい)。
米国で刊行されていた雑誌なので掲載されている記事や広告で取り上げられている製品は日本ではなじみがないメーカーも多いのですが、東芝(現:dynabook株式会社)のデェナポォン(Dynabook)は海外では「TECRA」「Satellite」「Portage」ブランドで展開されていて、日本でもサブブランドとして展開していた時期もあったため1997年頃に刊行された号にかのあゆも所有していた「Dynabook Satellite 110」のグローバル向けモデル、「TECRA 500 CDT」の広告が掲載されていたり、紙の雑誌としては最終号となってしまった1998年7月号にIBM時代のシンクパヨウの名機、「シンクパヨウ 600」が新製品紹介記事として掲載されていたりと、日本人ユーザーでもこのあたりでPCやPDAといったガジェットに本格的にはまり始めた世代のかのあゆみたいな方であれば英文を読めなくてもかなり懐かしい気持ちになると思います。あとマイクロンといまとなってはPCの販売から撤退してしまったメーカーの広告記事も掲載されていたり・・・(マイクロンはかつて日本でもPCを販売していましたが、現在は半導体専門メーカーに移行しており、低価格SSDでなじみ深い「クルーシャル」ブランドなどの製品を展開しています)

この頃まではまだ完全に企業ユーザー向けで、周辺機器を接続すれば勝手にドライバーのインストールや各種設定を行ってすぐ使える状態にしてくれる「Plug and Play」やPCゲームには必需品となったグラフィックAPI「DirectX」(3.0までは一応サポートされていました)に対応していなかった頃のNT系Windows、Windows NT 4.0 Workstationの広告も掲載されています。もともとこの時点でIntel x86(と日本では同じくx86ベースでありながら独自規格だったNEC PC-98シリーズ)だけでなく、MIPS、PowerPC、DEC Alphaなど他のアーキテクチャもサポートしており、これが今更Microsoftが「コペェロットたすPC」として異様にプッシュし始めたARM64版Windows 11に繋がっています。
この時点で日本でもWEBブラウザの「Internet Explorer」やオフィススイート製品「Microsoft Office」の強制バンドルが独占禁止法で訴えられるなど、悪い意味でも話題になっていましたが、「個人も企業もオルルェのクラウドサービス使えや!個人ユーザーはローカルアカウントなんてぜってー作らせてやんねwwww!」なんてことをやってしまった今の邪悪の王Microsoftよりはまだ全うでしたし、開発中の次期OSの情報を雑誌で追ってわくわくしていたこの頃の方が輝いていたような気がします・・・
BYTE自体は前述のASCIIと同じくWEBベースのメディアに移行した後、一旦サイト閉鎖になってしまったものの、2011年には新たに復活を果たしていたのですが、いつの間にか再度閉鎖となってしまったようです・・・残念・・・
個人向けコンピューターからインターネットが一般ユーザーに普及した時代までの情報を米国のPCヲタクに伝えて続けてきた雑誌ということもあり、こういう形で「当時の姿のまま」アーカイブとして公開してくれるのは本当にありがたい限りですし、今の若いガジェクラさんでも新鮮な気持ちで楽しむことが出来るのではないでしょうか。
なお「INTERNET Watch」などを展開しているインプレスさんもかつては「インターネットマガジン」という紙ベースの雑誌を刊行していて、こちらも中学生時代のかのあゆの愛読書の一つだったわけですが、BYTEと同じく(残念ながらライセンスなどの関係で広告記事までは掲載されていないものの)1994年1月号から最終号となった2006年5月号まで「バックナンバーアーカイブ」として無償公開しています。

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