ジャストシステムが日本語ワープロソフト最新バージョン、「一太郎 2024」の販売を開始しています。
日本国内でも既にMicrosoft Wordがデファクトスタンダードになっていることもあり、そもそも存在すら知らないという方も増えているかと思われますが、「かつては」米ロータス社からリリースされていた表計算ソフト、「Lotus 1-2-3」とともに最も高いシェアを誇っていました。
元々は失敗に終わったNECの「PC-100」向けにリリースされた「JS-WORD」としてリリースされ、その後やはりプラットフォームとしては失敗に終わった日本IBMの「JX」向けの「JX-WORD」、Windowsが普及するまで長らく国民標準機として普及していて、先日まで放送されていたアニメ「16bitセンセーション」でも話題になっていたNEC PC-98シリーズ向けにリリースされた「jX-WORD太郎」を経てバージョン3から現在の「一太郎」に変更されています。高い変換精度が今でも評価されている「ATOK」も「KTIS」としてJS-WORDと一緒にリリースされています。
それから長らく日本国内ではPC向け日本語ワープロソフトの代名詞として普及したものの、90年代初めから普及し始めたWindows対応を軽視した上、(特にWindows 95がリリースされた際、32bit化が遅れたことで、とどめを刺してしまった印象です)、Microsoft Wordが「日本語ワープロソフト」としての完成度も十分なレベルに達したことで一気にシェアを失い、今では「一部の人しか使用していないドマイナーなソフト」という位置づけになってしまいました。
同じくWindows時代になってExcelにシェアを奪われてしまった結果、2000年頃になって完全消滅したLotus 1-2-3よりはまだ残り続けているだけでもマシなのかもしれませんが・・・
かつてはMacintosh版やLinux版、変わったところではどのプラットフォームでも動作するJava版などもリリースされていましたし、日本国内では長らくスタンダードだったため、Microsoft Word 2003あたりまでは一太郎で作成された「.JSW」「.JXW」形式のドキュメントをWordで使用されている「.doc」形式に変換するためのコンバーターが標準搭載されていましたが、現在ではマルチプラットフォーム展開をやめてしまっている上に、フォーマットの仕様も公開されていないので、一太郎で作成されたドキュメントはWindows環境でしか開くことができません。
縦書き文章のサポートやルビ設定など、「日本語ワープロ」としての機能はWordよりも優れている部分もあり、強力な文章校正ツールも利用できることもあって、日本経済新聞や野村證券ではいまでも標準ワープロソフトとして指定されている・・・とWikipediaには掲載されていますが、正直アンヨヨイヨやiOS/iPad OSといったモバイルOSも普及している今の時代に今や標準から外れた一太郎を今でもこれらの企業が本当に使い続けているかどうかは微妙なところです。そもそも要出典タグ付いてるし・・・
一応Word 2007以降でサポートされているOffice OpenXML形式(.docx)、OpenOffice.org/LibreOfficeでサポートされているOpenDocument形式(.odt)もサポートされています。ただ、Word互換ソフトとしてはWPS OfficeやLibreOfficeより劣りますし、買い切り版ATOKもバンドルされなくなってしまったため、一般ユーザーがあえて一太郎を選択するメリットはありません。
小説や二次創作SSなどを頻繁に書かれる方なら、前述の通り日本語の取り扱いはWordより優れている部分も多いのでまずは体験版を試してみても良いかもしれません、。
最新バージョンとなる一太郎 2024では文章校正機能が強化されたほか、Windows 11環境における音声認識機能を新たにサポートしています。
前述の通り、一太郎独自形式は仕様が公開されていないため、Windows環境でしかサポートされていませんが、一応無料の「一太郎ビューアー」も公開されています。
付属しているATOKは買い切り版ではなく、サブスクリプションで提供されている「ATOK Passport Premiumの1年間利用分になるので、期間終了後も使用したい場合、別途課金が必要です。
そういえばドローソフトの「花子」って既に開発が終了していたんですね・・・
関連リンク
一太郎 2024:ジャストシステム
一太郎ビューアー:ジャストシステム
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