
以前からDavinci Resolveの無料版を使用していたユーザーであれば知っているかと思われる話ではありますし、記事にするほどでもないかなぁとは思っているのですが、実はWindows版とMac版では生産性に直結する、割と大きな差異があります。
それは「ハードウェアエンコードが利用できるか否か」です。
Windows版ではハードウェアエンコードが利用できない
Davinci Resolveの仕様を紹介しているサイトでもちゃんと取り上げられていますが、無料版でも「8K動画の編集が出来ない」「生成AI関連のアシスト機能が利用できない」という制限を除けば約5万円程度で販売されている「Davinci Resolve Studio」で実装されている90%以上の機能が特に制限無く利用できてしまう上に、商用利用もおっけー!むしろ無料版でどんどん動画作って自信ついたらStudio買ってネ!というスタンスを貫いている神動画編集ソフトですが、実はWindows版では「ハードウェアエンコードが利用できない」という、割と生産性に直結しそうな制限が設けられています。
実はIntel CPUでも2012年に発表されたSandy Bridgeおじさんこと第2世代Coreより内蔵GPU(Inte HD Graphics)にH.264形式の動画エンコードを高速化する「Intel Quick Sync Video(Intel QSV)」が実装され、第7世代Core(Kaby Lake)からはH.265(いわゆる“HEVC形式”)のサポートも追加されていて、これを有効化することでCPU“のみ”を使用するソフトウェアエンコードよりも圧倒的に高速に動画のエンコードを完了させることが出来ます。
もちろんNVIDIAのGeForceやAMDのRadeon(Ryzen内蔵iGPU版にも実装されています)にも同じような動画エンコード支援機能が用意されていますが、Davinci Resolveの場合これらを利用できるのは有料版の「Studio」のみで、無料版ではCPUのみ利用する「ソフトウェアエンコード」しか利用できません。
かのあゆが現在Windows環境用メインPCとして運用しているシンクパヨウX1c Gen 9ちゃんやらちつで5320で採用されている第11世代Core i5 1135G7・1145G7に内蔵されているIris Xe GraphicsではIntel Quick Sync Videoも強化されており、H.264、HEVC形式ともに8K動画でも高速にエンコードできてしまう・・・はずなのですが、無料版Davinci Resolveではそもそもソフトウェアエンコードしか選択できないため、1時間半程度の動画だとエンコード処理だけで1時間程度時間がかかってしまいます。
一応Davinci Resolve 17.3以降でこの制限が緩和されたようで、HEVC形式に関しては無料版でもハードウェアエンコードを利用できるようになった・・・らしいのですが、Core i5-1135G7/Iris Xe Graphicsを搭載するシンクパヨウX1c Gen 9だとそもそもハードウェアエンコードを行うための設定が非表示となっていてソフトウェアエンコードしか利用出来ませんでした・・・
・・・とはいえ無料なので仕方ない部分ではあるのですが・・・ただし・・・
mac版なら無料版でもハードウェアエンコードを利用可能(!?)
実はmac版Davinci Resolveではエンコード周りの制限は設けられておらず、有償版「Studio」と同じくハードウェアエンコードも普通に利用できます。
そもそもMacの場合Intelモデルだと搭載GPUがIntel HD/UHD、Iris Plus、またはAMD Radeon(dGPU搭載モデルのみ)、林檎シリコン搭載モデルだとApple GPU(iGPU)一択に限定されているから・・・というのも理由の一つなのかもしれませんが、おかげでApple M1搭載まくぶくえあえあだとWindows環境だとエンコードに1時間掛かってしまう動画でもわずか15分程度で処理が完了してしまいます。
ちょっとこういう事情もあって無料版Davinci Resolveで動画編集を行うならM1えあえあメインでやった方がいいかな・・・ということを真面目に考えていたりします。
ちなみにAdobe Premiere RushはWindows版、macOS版ともにハードウェアエンコードをサポートしているゾ

ちなみにあまり公式サイトでは明言されていませんし、国内サイトでの情報も限りなく少ないせいでググレカスが最近実装している生成AI要約機能でも「わかりません!」というクソの役にも立たない回答が出力されてしまっていますが、実はAdobeが「Premiere Pro」の簡易版として無料リリースしている「Premiere Rush」ではWindows版、macOS版ともにハードウェアエンコードをサポートしています。

Intel Quick Sync Videoも当然サポートされており、実際の動画エンコード処理もDavinci Resolve 20 無料版より明らかに高速でした(30分程度の動画なら4K設定でも15分程度で処理が完了しちゃう・・・これが“本当の”虎湖の実力か!)。
Windows環境で無料の動画編集ソフトにおけるIntel Quick Sync Videoのサポート状況を掲載しているサイトが非常に少ないのでアレですが、プラグインで機能を自由に拡張できるAVIUtilに関してはIntel Quick Sync Videoが発表された2013年時点で対応プラグインが公開されているので、Davinci Resolve無料版にこだわるのでなければこれらのソフトに移行するのも良いかもしれませんし、時間がかかっても良いのであればソフトウェアエンコードでも動画制作自体は十分対応可能なので、寝る前にエンコード作業を行う分であれば特に気になりません・・・が、やっぱり撮りだめた動画はできるだけその日のうちに編集してYouTubeなどの動画共有サイトに上げたくなっちゃいますよね・・・
前述の通り、macOS版であれば無料版Davinci Resolveでも有償版「Studio」と同様にハードウェアエンコードを利用できますし、Windows版に関してもバージョンアップでこの辺の制限は緩和されているようなので、いずれ改善される・・・かもしれません。それを差し引いてもこれだけ高機能なソフトを無料で使わせてくれるのはやっぱり神だと思うんですけどね!
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