診断用ツールなどを組み込むことで自分だけのメンテナンス用USBを作成できるWindowsベースの簡易OS、Windows PE。かつては「純正のWindows PE環境」についてはOEM向けに配布されていたWindows ADKを入手しないと作成できませんでしたが(なぜか秋葉原のぁやしいショップで大量にインストールCDが出回っていましたが・・・)、現在はWindows ADK、Windows PE Add-On共々無料で公開されているので誰でもWindows PEベースのブートUSBを作成することができるようになりました。
最新バージョンはWindows 11 2024 Update(Version 24H2)ベースの「Windows PE 11」(ベースになっているOS同様、Intel x86=32bit環境が廃止)となっていて、32bitアプリを動かすためのエミュレーション環境(WOW64)や通常のWindowsでは標準シェルとしても機能するExplorer.exe(ファイル エクスプローラー)など、一部アプリが削除されているなど、一部機能が制限・削除されている関係ですべてのアプリが動作するわけではありませんし、「Windows PE」としては無線LAN経由でのインターネット接続もサポートされていないのですが(いずれ別途記事にする予定ですが、公式環境でも「Wi-Fi環境をサポートするWindows PEブートディスク」自体はOS標準機能で簡単に作成できます。ADKのインストールすら不要です)、基本インストール不要でアーカイブファイルから展開すればそのまま動くようなアプリであればそのまま動作していた・・・のですが、残念ながら最新のWindows PE 11ではWEBブラウザのみ現状動作しません。
Windows XP(サードパーティ製ツールのBartPEを使って「通常のWindows XPインストールメディア」から作成した非公式のWindows PE環境)〜Windows 10ベースのWindows PE 10時代まではUSBメモリなどの外部ストレージで起動できる「ポータブル版」Google ChromeやMozilla Firefox、Werefox(Mozillaベースの派生ブラウザ)などがそのまま動作していたのですが、Windows 11 PE環境ではこれらのポータブル版WEBブラウザは動作しません。
そのままズバリ「Web Browser (PE)」なんてWindows PE環境で動作することを謳っている軽量WEBブラウザも存在しているのですが、こちらについてもWindows 11 PE環境では正常起動しませんでした。
一応Windows PE環境を導入する際に必要となるWindows ADK PE Add-Onには「WinPE-HTA」というオプションコンポーネントも用意はされているのですが、これで追加できるのはもうまもなく消え去る予定でなおかつ旧態化したMicrosoft Internet Explorer 11の「Trident」エンジン部のみで、これを追加してもブラウザそのものが使えるようになるわけではありません。
Windows PE環境は前述の通り素の環境だとWi-Fi接続をサポートしていませんし、Microsoftの意図としては「メンテナンスやOSイメージの展開での仕様」を想定しているのでWEBブラウザの動作なんて全く考慮していないかと思われますが、一応「純正の」Windows PE環境ベースでWEBブラウザを組み込もうと考えている方はWindows 11ベースのWindows PE 11ではなく、Windows 10ベースのWindows PE 10以前のバージョン + Windows PEで動作確認が取れているポータブル版WEBブラウザの利用を検討した方が良いかもしれません(そもそも旧バージョンのOS + 旧バージョンのWEBブラウザの場合ネットワークに接続するとセキュリティ的にアレですが、オフライン環境でHTMLベースのアプリを動かしたいのであればこれでも十分対応出来るかと思われます)。
何でこんなことを記事にしたのかというとお仕事でWindows PE環境で動作するWEBブラウザを探す必要があったからです。
一応サードパーティ製Windows PE環境作成ツールであれば通常のWindows OS環境からリソースを移植することでほとんどのWEBブラウザが問題なく動作しますが、仕事で取り扱う場合場合サードパーティ製ツールを利用できない場合が多いので・・・
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