システム要件を満たしていない環境にWindows 11を入れるとどういうリスクを背負うことになるのか纏めてみた

自分でシステム要件を回避している人は「わかっていて」愛着のあるPCをできる限り使ってあげたいと思っている方がほとんどだとは思うのですが、先日公開した記事にもあるとおり、お年寄りなどの何も知らないユーザーを対象にシステム要件を満たしていないWindows 11搭載中古PCを平然と売りつける業者が存在しているため、「システム要件を満たしていないPCでWindows 11を使うとどういうリスクがあるのか」ということを纏めておきたいと思います。

なおこういったトラブルが発生しても販売業者では何もサポートしてくれないので、初心者の方はソフマップさんやじゃんぱらさん、イオシスさんなど、知名度があってユーザーからの評判も高いショップでの購入をお勧めします。

残念ながら実店舗があるショップでもシステム要件を満たしていないWindows 11機を売りつけるショップは存在しています・・・

無理矢理アップグレードした結果、本来受けられるはずのセキュリティ更新が降ってこなくなる

前々から紹介していますが、Microsoftが案内している「レジストリの値を編集してシステム要件チェックを回避する」という手段はあくまで検証のために用意されているものであって、システム要件を満たしていないPCを使用しているユーザーへの救済策ではありません。

Windows 11 をインストールする方法:Microsoft

最小システム要件を満たしていないデバイスに Windows 11 をインストールする:Microsoft

そのためMicrosoftのサポートページでははっきりと「レジストリの値を変更してシステム要件を回避するのはお勧めしないし、PC製造メーカーも一切保証しない」と記載しています。

検証のために用意している上にサポートしないとしている手順をMicrosoftがはっきり「お勧めできません」と記載しているものを「Microsoftが問題ないと案内している」とユーザーに返答する業者はその時点で信頼しなくていいです。これ、MARライセンスされている業者が問い合わせたユーザーに対して回答したものであると聞いたときは本当に驚きました・・・

Windows Updateでの更新プログラムが提供されなくなるとも案内されています。実際にはセキュリティアップデートがシステム要件を満たしていない環境で配信されなくなったという事例は今のところ発生していませんが、毎年後半にリリースされている大型アップデートでは実際に配信がブロックされています(そもそもリストに掲載されず、更新アシスタントでインプレースアップグレードしようとしてもブロックされる)。

もちろん再びシステム要件チェックを回避して更新することも可能ですが、PCに詳しくない方の場合「レジストリ?何それ?」という方も多いので、そのまま旧バージョンを使い続けることになると思われます。

その場合旧バージョンのWindows 11を使い続けることになるので、1年以内にすべてのアップデートが終了となり、ネットに接続している場合マルウェアに感染するリスクが高くなります(Microsoftが案内しているサポート期間は「最新のアップデートをすべて適用した状態」でのものです。参考までに初期バージョンとなる21H2(Build 22000)は2023年10月10日を持ってセキュリティアップデートの提供が終了しています)。

なおWindows 10の延長サポートは予定通り2025年10月14日を持って終了する予定ですが、有料にはなるものの一般ユーザーにも3年間の延長セキュリティアップデート(ESU)の提供が検討されていると報じられています。

Windows 11に無理矢理更新して販売した結果、本来受けられるはずだったセキュリティアップデートを受け取る権利すら失うことになるとは、本当笑えない冗談ですね・・・

ドライバ自体もWindows 11に最適化されていない

ハードウェアメーカーは当然「サポートされているOS」でしか検証を行っていませんし、Microsoftが「推奨していない」という手段で無理矢理アップグレードされたPCの面倒を見る必要もないため、ドライバーはすべてWindows 10(あるいはそれ以前)しか動作保証されていません。

そのためWindows 11に無理矢理アップグレードした場合、「無線LANの切り替えスイッチが動かなくなった」「WEBカメラが機能しない」などの問題が発生する場合もありますが、こういった中古業者はとにかく「売れればいい」のでこういった問題のサポートは一切してくれません。

また現状Windows 10とWindows 11との差がそこまでないこともあり、問題なく動いているドライバーであっても今後正常に動作しなくなるリスクを抱えています。

あくまでWindows 10とWindows 11は別バージョン扱いですし、そもそもWindows 10はOSとしての更新は既に終了しているため、今後システム要件を満たしていないPCで無理矢理Windows 11をインストールした環境で正常に動かなくなる周辺機器や内蔵デバイスが増えてくる可能性もあります。

Windows 11を無理矢理インストールした中古PCなぞ買うな

前述の通り、ユーザーさんがこういったリスクをわかっていてあえて対応していないPCにシステム要件を回避してWindows 11を導入するのは全く問題ありませんが、ショップがやるとなると話は変わってきます。

MARライセンスで提供されたWindows 11をクリーンインストールしている場合、Microsoftが非推奨としている上にPCメーカーもサポートしない手段で無理矢理動作させている商品を正規ライセンスを使用して製造していることになりますし、Windows 10のOEM COAを流用している場合、(少なくとも業者が再販する場合は)元々プリインストールされているメーカー純正OSにしか適用出来ないはずのライセンスを流用しているので、どちらにしてもジャンクではない中古商品としては問題があります。

さらに言えば将来的にデバイス周りの不具合が発生する可能性があるだけでなく、セキュリティアップデートすらできないPCを何も知らない方に売りつけているので、下手すると業界にとってもこういったショップは害悪になってしまっていると言えます。

馬鹿正直に「このPCはシステム要件を満たしていないので、早ければ半年後にアップデートできなくなる可能性があります」と記載している商品はありませんからね。しかも無駄に高いし、Officeのライセンスも出所が怪しいし・・・(OEM版OfficeはWindowsとは異なり、中古PCへのライセンス販売は行っていません)。

前述の通り、現状まだどうなるかわかりませんが有償とはいえWindows 10にも延長サポート期間終了後、さらに3年間セキュリティアップデートが配信されるESUが一般ユーザーにも提供されるかも可能性もあるので、本来であれば対応しているOSのまま販売すべきだと思います。

急に発表した上に現役で使えるPCを(CPUの脆弱性をOS側で対応するのが面倒になったという事情があるにせよ)切り離したMicrosoftにも責任はありますし、中古業者としては2年後には通常中古として売れなくなってしまう製品を在庫処分してしまいたいというのも気持ちとしてはわからなくないのですが、何も知らないユーザーをだまして売りつけるというやり方は十数年前に秋葉原からほぼ消滅した怪しいショップとやり方が大して変わりませんし、結果として信頼を失うことにもなるので後々痛い目を見ることになると思っています。

関連リンク

システム要件を満たしていない中古PCにWindows 11をインストールして何も知らない一般ユーザーに売りつける悪徳業者は滅んでほしい

ちなみにWindows 11とは異なり、特にインストールがブロックされるわけではないので知らない方も多そうなので追記しておくと、Haswellおじさんこと第4世代CoreはWindows 10でも21H1(May 2020 Update)の時点で公式サポート対象外となっています。

Windows 10 21H1 でサポートされている Intel プロセッサ:Microsoft

Sandyおじさんこと第2世代Core以前はそもそも初期バージョン(10240)の時点で、Intelのドライバ更新も打ち切っています(OSに含まれているインボックスドライバは用意されていますが、原則メンテナンスされていません)。

コメント

  1. アッキー より:

    かのあゆさんこんにちは。
    もしよければアドバイス頂きたいです。
    microsoft エクセルが普通に使えるタブレット探してます。軽くて小さく値段安いほど助かる感じです。プライベートの勉強管理が目的でファイルの中身は簡単な計算式のみです。
    できればキーボード付きが良いのでイオシスさんのarrows q616とか良さげですが、メモリ4Gとかここ10年以上使ったことなく動作ちゃんとするのか不安しか無いです。
    ipad pro10インチ持っているのですがカバー付きで重すぎるので買い足そうと思いまして。

  2. kanoayu より:

    >>アッキーさん
    返信遅れてごめんなさい!モバイル版のExcelはあくまでサブセットになってしまうので、PC版Microsoft Excel(買い切り版、サブスクリプション版Microsoft 365 for Apps含む)のライセンスを持っているのであれば中古市場価格が下がってきているSurface Go 2のCore m3-8100Yモデルがちょうどいいのではないかなぁと思っています。

    Q616はいちおう3,000円(税込み)で販売されていた個体をWindows 10環境検証機として購入しているのですが、Core m3-6Y30と4GB RAMの組み合わせだと場合によっては重くなる場面もあるかもしれません・・・簡単なドキュメントを扱うくらいであればSkylake世代以降のCore mってけっこう優秀なので割と今でもしっかり動いてくれるんですけどね・・・

    通常中古でも安くなっているので、Windows 10のまま残り1年半使うつもりなら魅力的かもです。

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