
OSの作りからして企業ユーザー環境でもIntune推しがかなり強くなってきている印象はありますが、そもそもIntune自体がMicrosoftのクラウドサービス「Microsoft Azure」に依存していてライセンス費用等のコストもかかるだけでなく、設定自体も「Microsoft推し」の設定になってしまうことや、設定画面から直接アプリやポリシー設定を配布できる「Windows Autopilot」は確かに便利なのですが、導入する企業やユーザーのネット環境によっては回線を逼迫してセットアップ自体が失敗するリスクも発生することもあり、従来の「マスター作成」は無くならないのではないかなぁと思っています。
ただし、Windows 11以降設定がいろいろめんどくさくなっているのも事実なので、実際にマスター作成という業務を行っていて困ったことを纏めておこうと思います。
毎月仕様がコロコロ変わるのやめてくれー・・・
Windows 11 2022 Update (Version 22H2)では「Moment Update」という形で年に4回、月例アップデートにセキュリティ更新と一緒に新機能を含めていた・・・はずだったのですが、いつのまにか毎月のように機能更新が含まれるアップデートが配信されるようになりました。
一般ユーザー目線から見ても毎月のように更新プログラムを適用しただけで重大レベルの不具合が発生するという、悪夢のような状況になってしまったため非常に迷惑だったりするのですが、マスター作成の場合「作成する時期によってデフォルトの値が変わってしまうこと」があるためなおさらめんどくさいことになってしまいます。
例えば当ブログでも取り上げたWindows 11 Enterpriseにおける「Windowsスポットライト」壁紙・ロック画面設定のデフォルト有効化がその一つで、Windows 11 2025 Update (Version 25H2)のリリース当初は企業ユーザー環境では従来通り壁紙が規定の設定になっていたのですが、2026年3月以降企業ユーザー環境でも特に設定を行わない場合の規定の設定値が「Windows Spotlight」に変更されたため、「追加対応を行うために更新プログラム・最新OSイメージ(企業ユーザー向けのボリュームライセンス版Windowsの場合、専用の管理ページから最新の月例アップデートが適用されたisoイメージを入手することが可能です)で追加対応を行ったら規定の設定が変わってしまったため、追加確認にえらく時間がかかった」という事態が発生してしまったことがあります。
ちなみにこの設定ではマスター作成で使用する「監査モード」環境だとそもそも従来通り「壁紙」に設定されていて、後述する理由で個人設定は監査モードでも設定できない制限がかかっている関係でグループポリシーを設定してWindows スポットライトそのものの設定を制限しないと以前の設定で固定できなくなってしまったため、結局次回(Windows 11 Version 26H2)以降も含め規定値は「Windows スポットライト」に設定される旨を了承していただく形で対応したのですが、正直「同じバージョンでもビルドごとに設定値が変わる」のはマスター作成というお仕事を行っている身からしてもかなり迷惑だったりします。 そもそもこういう方針になったから変なバグばっかりになったんだからRAM 8GB搭載PCへの最適化云々より先に新機能の提供を以前の「大型アップデートで(Windows InsiderやMicrosoft内部ビルドで十分テストしてから)新機能を提供する」というスタイルに戻した方が一般ユーザー・企業ユーザーいずれの目線からしてもありがたいような気がするのですが・・・
ライセンス認証を行わないと監査モードでも機能制限が発生するようになった(普通に設定させてくれ!頼む!)
マスター作成は基本的にオフライン環境で行うのが鉄則となります。 理由としてはネットに接続してしまうとバックグラウンド経由でUWPアプリの更新が実行されてしまい、マスター作成最後に実行するツール「SYSPREP」(マスター作成機固有情報を削除して他のPCでも展開できるようにするためのツール。これを実行しないと端末固有情報の重複が発生してしまい、トラブルの原因となります)で処理に失敗する原因となってしまいます。
ちなみにWindows 8から実装されたMicrosoft Storeアプリを「オンライン」で更新・追加インストールした場合、UWPアプリの使用上全ユーザー対象ではなく、ログインしているユーザーに個別でインストールされる仕様となっているため、蟹(Realtek)などのオーディオドライバーでよく見られる「ドライバーを入れた後自動的に追加されるユーティリティ」も含め、別途ライセンスファイルと一緒にインストール用のパッケージファイルを入手した上でプロビジョニング設定にも組み込んで全ユーザー対象にインストールしないとSYSPREPの処理に失敗します。
なお基本的にUWPアプリのオフラインインストール用ストアアプリのパッケージファイルは開発元が公開している場合を除き、一般ユーザーは入手出来ませんし、配布しているサイトはヤベーサイトなのでそのようなサイトからパッケージファイルを絶対に入手しないでください!!
そういう仕様上、マスター作成だとネット接続がない環境でWindows Update Catalog経由で入手した更新プログラムや機種個別デバイスドライバー、各種アプリ(従来のWin32アプリと前述の「公式手順で入手したインストールパッケージとライセンスがそろっている」UWPアプリ)、OS設定やローカルポリシーの設定を行うことになるのですが・・・
いつからこういう仕様になったのかわからないのですが、少なくともWindows 11 2022 UpdateやWindows 10 Version 22H2あたりまでは監査モードであればライセンス認証を行っていない状態であってもデスクトップアイコンやスクリーンセーバー、壁紙・ロック画面などの個人用設定も制限なく設定できた仕様だったはずなのですが、Windows 11 2023 Update (Version 23H2)あたりから「監査モードであっても有効なOSライセンスでアクティベーションを行っていないと個人用設定など一部設定ができない機能制限モードになる」仕様に改悪されています。
マスター作成用のOSライセンスまで用意してもらっている場合を除き、無駄に契約しているボリュームライセンスの契約ライセンスを消費したいと思うIT企業なんていないでしょうし、もしマスター作成用のライセンスを別途用意してもらえた場合も作業用PCからMicrosoftアカウント(個人用Microsoftアカウントでログインさせてくれる会社は存在しないかと思われますし、存在したらいろいろな意味でやばい)か企業向けMicrosoft Entra IDでサインインした上で専用ページから長ったらしい認証用IDを発行してもらわないとオフライン認証させてくれない仕様に“改悪”されているため、わざわざレジストリを直接弄って設定するめんどくさい対応を行わないとポリシーなどを設定せず、SYSPREPで読み込ませる応答ファイルで個人用設定を全ユーザー設定として反映させる「CopyProfile」を有効にした上でデスクトップアイコンの設定やテーマ設定などを設定することは出来なくなってしまいました。
なお、一応企業向けに導入しているPCは「Windows 11 Pro」であることがほとんどなので、PowerShellでUEFIファームウェアに組み込まれているOA3ライセンスをオフライン認証すれば一応従来通り完全オフライン環境で個人用設定などもマスター側で通常通り設定することは可能です。
メーカー製PCに組み込まれているOEMライセンスは同一機種を含む別PCにイメージ展開を行う「再イメージング権」はないので純正イメージをそのまま流用してマスターを作成するのはライセンス違反となりますが、ボリュームライセンス版メディアでクリーンインストールを行った上で一時的にOA3ライセンス認証を行った状態でマスター作成を行い、SYSPREPで正規KMS/MAKキーを組み込んだ場合マスターイメージ側のライセンスは「再イメージング権があるMAK/KMSキー」が組み込まれるので対応としては特に問題はありません。 再イメージング権がないからOA3ライセンスをそのまま流用して再販しているAmazonなどの中古PCはライセンス違反ry
Intune推しっぽい、マスターだと設定できない(設定できてもめんどい)項目が増えてきている
Windows 11以降従来の「SYSPREPを使用したマスターイメージ」だとそもそもマスター側では設定できなかったり、設定できたとしても非常に面倒な手順が必要な項目が増えてきています。
その中の一つが「スタートメニューのカスタマイズ」で、以前も当ブログで取り上げていますがWindows 10まではタスクバーと同じく設定用のXMLファイルを全ユーザーに共通の設定が保存されている「Default」プロファイルの指定フォルダに置くだけで任意のアプリをスタートメニューの項目としてピン留めすることが出来たのですが、Windows 11以降ではスタートメニューの配置を保存している設定ファイルがjson形式のものに分離した・・・のはよいのですが、これをそのままコピーしても規定値として設定できないため、Intuneやグループポリシーでスタートメニューの配列を固定してユーザーに一切変更させない設定にしたくない場合は、「Windows ADKに含まれている「構成マネージャー」というツールであらかじめ用意したスタートメニューのカスタマイズ設定を保存したjsonファイルを組み込んだプロビジョニング設定パッケージを作成し、それを読み込ませてからSYSPREP実行前までに削除する」という非常にめんどくせぇ手順を実行しないとユーザーが後から配置を換えられる形でのスタートメニューのカスタマイズはできなくなりました。 一応2025年10月から展開が開始され、今では個人ユーザー・企業ユーザー環境ともに有効化されている新しいスタートメニューでも今のところこの対応でマスターにカスタマイズしたピン留め配列を設定できますが、いずれIntuneでしかやらせてやらねーーー!とかいう挙動に変わりそうだなぁ・・・()

余談ですが(あまりマスター側で対応するケースはないかと思われますが)「Windows セキュリティ」の「評価ベースの保護」にある「望ましくない可能性のあるアプリのブロック」をマスター側で設定する場合、Windows 11 2024 Updateあたりからそのままの状態だと「アプリをブロックする」しか項目が表示されない仕様に変更されていますが、実体はMicrosoft えっちっちーの「SmartScreen」そのものなのでえっちっちーを初回起動させてプロファイルが作成された状態にすれば「ダウンロードをブロックする」も項目に追加されるので、これを有効にすれば規定値としてちゃんと設定されます。
マスター作成という仕事はやりがいがあるが企業ユーザーにとってもめんどくせえOSになった感はある
他にも近年企業向けモデルでも増えてきているコペェロットたすPCでのみ利用できるローカルAI関連の機能のうち、機密情報も平文で保存しているためにマスター作成対応を行う際は必ずそのリスクを相手先に伝えた上でポリシーで機能自体を無効化にするか必ず確認するようにしているRecall(回帰)機能など、個人でも「???」と思えるような機能も実装されていますし、そもそもOS自体が未だバギーだったりするので個人でも仕事でもめんどくせえOSになってきちゃったな・・・とは思っています。 いや作ってる実からすると楽しいんだけどさ・・・
OSの設計的にも「企業ユーザーにも自社クラウド押しつけてぇんだな・・・」と思われるような仕様になってきていて、Intuneであればそもそもマスター作成やキッティング作業が不要になることもあって導入する企業も増えてきているようですし、マスターイメージをオンプレ環境に展開するためのツール「Microsoft Configuration Manager(MECM)」も開発・サポート自体は継続されているものの、リリースサイクルが年に1回に変更されるなど、「あぁこれIntune押しつけてぇんだな・・・」という方針にシフトしてきている印象はあります。
ただし、かのあゆより若い世代の人だとWindowsの、特にレジストリ設定やSYSPREP、DISM等のツールやバージョンごとの挙動そのものの知識に疎い方が増えてきているようですし、前述の通り「Microsoft推しの設定にしたくない」「Microsoft IntuneやIntuneがバンドルされている法人向けMicrosoft 365にコストをかけられない」「そもそもネット環境がないのでIntuneで設定を配布できない」という企業も多数存在しているので、おそらくMicrosoftが完全にOS事業を辞めてしまうような事態にならない限り従来のマスター作成というお仕事も生成AIが奪えるようなお仕事でもないので(毎月挙動が変わっているので自社のコペェロットですら間違った案内をする今の生成AIだとマスター作成は対応出来ない・・・)なくなることはないのではないかな・・・と予想しています。
あぁ、次はWindows 11 2026 Updateとのバトゥルが始まる・・・(実は実質OSR2なWindows 11 Version 26H1との統合が入ってカーネルレベルまでまた変更される来年の大型アップデートの方がいろいろめんどくさそうな気がします・・・)